故佐藤つたの詩には、波乱の人生や、魂のあえぎ、悪徳の匂い、絶望の淵の輾転、、、、といった、いわゆる研究者や詩の愛好家を喜ばすひねった仕掛けはない。
身の回りのさまざまなことがらを、柔らかい自在な、ときには童女のような心で受け止め、膨らませ、その世界を、独りわくわくしながら、ときにはおセンチに言葉に紡いだ詩だ。
その膨大な詩に佐藤つたを知る園田容子さんが次々と奔放に曲を当て、それを佐藤つたの子、お姫様ソプラノの長谷川泰子さんが歌う。
そうした "おつたのうた" に包まれると、なぜ心が澄んでいくのか。
お二人によって歌になったとき、詩の持つ温かく心地よい人生の上澄みが生き生きとした新たな命を帯び、聞く者の心に注がれ浸み渡っていく。そして胸の底の澱をも静かに溶解させてゆくのだ。
作曲を担当した園田容子さんは、今回もライブでピアノとトークの相方を務めながら、おつたさんに負けずに遊ぶ。
アランドロンが登場するコミカルなうたのイントロは、アコーディオンに変えてもの哀しく「太陽がいっぱい」だ。
もちろん主役の長谷川泰子さんは、往年の大舞台の再現のように、ことに今回は派手やかな節回しのアリアでも朗々と始まるのかとおもうほど30秒近く聞かせて
「あ〜、蚊に刺されました」
とはいってゆく。
前回も言ったことだが、佐藤つたの詩の世界を、コミカルに、おセンチに、しみじみと繰り広げて、それこそ "おつたのうた" という新しいジャンルをお二人が作り上げている。
たしかもう100曲を超えているので、まさにジャンルだ。
今回、そこに新たな歌
「君が生まれたその朝に」
が加わった。
泰子さんに息子さんが産まれたときに佐藤つたさんが作詞したものが、あらたに見つかったとのこと。
最後に眼に光るものを堪えて泰子さんが歌われた。
幾度か聞いたおつたのうた、今回は長谷川泰子さんも園田容子さんもさらに自由に遊んで少しドジして、去年の5月の曼荼羅ライブよりもいっそう素敵なステージを楽しませてくれた。
ライブはすべて録画され、近々U-TUBEにアップされるとのこと。
追伸:
1ドリンクにバーボンの水割りを頼んだ。スコッチやニッカも旨いが、バーボンの独特の癖は独りライブに向き合うときに合っている。
ベネディクトさんが、11月4日曼荼羅のライヴを早速記事にして下さいました。
近藤さんは、もう何年も前から私のコンサートに入らして下さっています。
いつも記事を書いてくださるのですが、今回の記事は、特に嬉しいお言葉がいっぱいです。
また次へと向かう勇気をいただきました。
ご多忙の中をご来場ありがとうございました。
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